ユマニチュードが業務を減らす?!

こんにちは。

それでは今日も買ったものをつらつらとレビューしていきます。

本日は界隈で注目されているユマニチュードについて紹介しましょう。

医療職向けの内容ですが、自宅介護や子育てなど人に関わる方に通じる内容になっています。

この記事でわかること

・ユマニチュードとは?

・ユマニチュードをどうやって実践に活かすのか

・ユマニチュードを実践したときのメリット

上記がわかるように構成されています。ぜひ最後まで御覧ください。

精神論ではない実践をもとにした学問

ユマニチュードとはフランス発祥の認知症患者に対する医療・看護・介護ケアの考え方・方法論です。

フランスの体育学の教師であったイヴ・ジネスト先生とロゼット・マレスコッティ先生が、医療に関わる機会をたままた持ったことがきっかけのようです。

ケアを受ける患者の力を阻害しない、ケアの提供者の負担も軽くなるというまさに夢のような方法論を確立されました。

この理論の大切なところは、一貫して実践的であるということにつきます。

詳細は次項以降で詳しく説明しますが、患者の力を最大限引き出すことができれば負担は減るということが書かれています。

日本では本田 美和子先生という方が先駆者です。

「ユマニチュード入門」という本を共著で出されていますので、こちらの本に沿って説明していきます

ユマニチュードとはなにか?

ユマニチュードとはなにか、語源から辿っていきます。

フランスでおきた植民地・黒人による黒人らしさを取り戻すネグリチュード(negritude)を語源としています。

このネグリチュードを踏まえて、1980年代に「人間らしさ」を表すユマニチュードが生まれたとされています。
こちらは学問というよりも思想哲学といったところで、ケアの具体的な手段は特にありませんでした

その後フランスの二人の先生よって1995年に学問としてのユマニチュードが確立されました。

ユマニチュードというこの単語の綴りはhumanitude」と書きます。

フランス語ではhの音を発音しませんので、先頭のuの音から発音してユマニチュードとなっています。

医療用の学問と考えられていますが、本田先生の講演会を通してすべての対人関係に通じる理論であると考えています。

目を合わせると仕事が減る?

「人間らしさ」を尊重するこの学問の第一歩は、目線を合わせることにあります。

日常生活において、目を合わせて会話をしなさいとよく言われますよね?

ケアでも同じはずであり、専門教育を受けた医療者は耳にタコができるほど聞き慣れた言葉です。

ですがどんな人であろうとできていない。

この本では、目を合わせることが相手の存在を認めることであると書かれています。

ケアを受ける人には「あなたは、ここにいるのですよ」というメッセージを送り続けることが重要であり、これがユマニチュードの原点です。

ユマニチュード入門 section2 ユマニチュードの4つの柱 P48~49より

あなたが知りたいのは目を合わせることの大切さもそうですが、その具体的方法です。

目を合わせるためにはケアの提供者が必ず主体的に実施します

相手の顔が自分と逆を向いているなら、その方向まで立ち位置を変えます。

壁の方を向いているなら、車いすやベッドを動かしてでも視線を「掴みに」行きます

体の正面ではなく視線の正面にこちらの顔を持っていくようにするのが基本です。

これを毎日繰り返すことで、ケアを受ける人々は私達に協力的になってくれます。

この協力的姿勢こそが患者の自立心を取り戻させ、ケアの提供者の負担を軽減してくれると説明されています。

ケアの一つ一つが長引く要因は、ケアを受ける人々がされたくないことをされていると認識していることにあります。

ケアの拒否が時間を長引かせ、無理やりケアをすることで拒否が強くなるという悪循環に陥っています。

この悪循環から抜け出すためのユマニチュードであり、その原点である目線を合わせるということが強調されています。

1日20分の立位が寝たきりを防ぐ

この本では立って歩くことの重要性を説いています。

そして、負担を増やさずに立つ時間を確保するコツも書いています。

足の裏に荷重をかけるという行動は、あなたが考える以上に刺激になっています。

二本の足で立って歩くということは生活の基本でもあります。

高齢になるとたって歩く時間が少なくなり、これがより立って歩ける時間を少なくしてしまうという繰り返しになってしまいます。

立つことで身体に与えるメリットは筋肉・骨・呼吸など様々あります。

そして、心に与えるメリットもたくさんあります。

自分のことで考えてみても、運動で気分をスッキリすることがあると思います。

生活している目線を上げ、普段とは違った景色や窓の外を眺めることに繋がります。

ケアを受ける人々にとっては立つことも運動であり、普段の生活とは違う景色を見て気分を切り替えることに繋がります。

歩くことで移動能力を獲得し、「社会における自己」を認識する関係性をを経験し、一人の人間であることを認識します。
~(中略)~
人間の尊厳は「立つ」ことによってもたらされる側面が強く、これは死の直前まで尊重されなければなりません。

ユマニチュード入門 section2 ユマニチュードの4つの柱 P74より

本文では20分の時間をとることで寝たきりを予防できるともされています。

そんなメリットの有る「立つ」といった行為ですが、いつものケアに加えて20分の立つ時間を作ることは簡単ではありません。

ですが、この本は技術書なので時間の作り方をしっかりと書いてくれています。

まず確認するのはその人が40秒程度立てるか確認することです。

手すりに捕まった状態でも、介助者がいる状態でもなんでも構いません。

40秒の間、自分の足で立てるか確認をしてください。

本文では、40秒立つことができれば清拭ができるとしています。

また、歯磨きやシャワー浴など立位で行うことのできる介助はたくさんあります。

普段座ってやっていることを、座る・立つを繰り返してでも立って行うことで20分の立位を確保できるとのことです。

実際に私も職場でケアを提供しています。

20分の時間を確保するのは難しいときはありますが、清拭や歯磨きのときに立ってもらっています。

立つ時間が増えた方の顔の様子が違うことを日に日に感じています。

ぜひとも、立つ時間を作るということにチャレンジしてみてください

医療に携わるすべての人へおすすめします

ユマニチュードという学問は、人間の尊厳を尊重するという当たり前ですが素晴らしい発想のもとに生まれた学問です。

そして思想だけでなく、実践が非常に簡単な技術として画期的です。

上記で紹介した以外にも、ユマニチュードには「触れる・話す」の2つの項の説明があります。

紹介している私も、読み始めたときはそんな事できないよ、と考えていました。(しかも本を読んだのではなく講演会を受けている人間です)

ですが、学んだものは実践してみたいという気持ちでやってみたところ、初日から手応えがありました。

もちろん「おや?」というときもありましたが、それ以上にケアを受ける人の本来の力を取り戻していく姿をみて感動しました。

ですが、やっていることは人間として当たり前のことです。

医療・介護に関わる人には是非とも読んでいただきたい一冊でした。

全ての内容を紹介すると3倍ぐらいのボリュームになるため、今日のところはここまでにしておきます。

ここまで見ていただきありがとうございました。

今後も気になること、購入したものなどつらつらと投稿していきます。

それでは!

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